台風15号の猛威を経て、強固な護岸復旧整備へ
2019年9月8日夜から9日明け方にかけ関東地方を通過した台風15号は、区内の産業団地「LINKAI横浜金沢」に甚大な被害をもたらしました。想定を超えた高波により、海岸線に近い企業ほど大きな被害を受けたほか、分厚いコンクリートの護岸も一部倒壊しました。罹災した企業の中には、再建をあきらめたところも。想定を超える台風の猛威でしたが、復旧する護岸の設計の考え方として「今後発生し得る最大の高潮・高波を防護できるもの」としたため、海の見える風景が無くなってしまいました。
福浦護岸は、台風15号の被災前は釣り人に人気のスポットとして知られていました。市内には有料の「海づり施設」として本牧、大黒、磯子がありますが、福浦は誰でも自由に無料で24時間魚釣りができ、休日ともなれば大勢の釣り人で賑わっていました。釣りに限らず人が集まることで、近隣に路上駐車が増えたり、ゴミが散乱したりと課題もありました。今は護岸工事で立ち入り禁止の為、八景島対岸の被害を受けなかった護岸で釣りを楽しむ人の姿がみえます。
工事を終えて釣りもできる遊歩道に
八景島マリンゲートから長浜水路口までのびる約3kmの遊歩道は、「海辺の散歩道」としても区民に親しまれていました。護岸復旧工事により「海辺の散歩道」は現在利用できませんが、今後の計画を担当する大山さん、谷さんから伺った内容を紹介していきます。
「これまでのように誰もが自由に利用できる形を継続するためにはどういった管理運営がよいのかを検討しています。地元の方からは、路上駐車への対策についての要望が多いため、民間事業者のノウハウを活用して、第2防護ラインと第3防護ラインの間に駐車場を設けることを考えています」(大山さん)
管理棟やトイレの整備
駐車場など関連する内容について、さらにお二人にお尋ねしました。
「駐車場に隣接して、管理棟やトイレ施設も整備する計画です。また、巡視の方を配置することで安全面を確保する予定です。ゴミの投棄などの懸念もあり、注意喚起の看板やポスターの設置も考えています」(大山さん)とのことでした。
新しく金沢区民の憩えるエリアに
取材時は仮設の階段で福浦護岸に上りました。直立消波ブロック(図参照)の遊歩道についても説明をいただきました。「直立消波ブロック上で遊歩道が計画されている部分は幅が約5mです。間詰石の敷かれている部分は約2.5mありますが、ここは護岸を超えてきた波の排水部分となるため、利用者が立ち入らないようチェーン柵を設置します。駐車場から遊歩道のアクセスは階段とスロープで、中央、両端の3か所を考えています。直立消波ブロックは漁礁の効果もあるので、魚釣り場としても期待できます。海面から護岸の高さは干潮時で7.5m、満潮時で5.5mになります。海釣りを楽しんでいただくことはできますが、遊歩道としての利用もあるため、投げ釣りは危険なので禁止とさせていただきます。安全対策として、海側のパラペット上部に手すりや救命用の浮き輪等を設置します」(谷さん)
ヘリポートがみえる丘は現在立ち入ることができませんが、ここについてもお聞きしました。
「丘への道は台風15号による大きな被害はなく、今は草が伸びていますが整備して以前と同様に海辺の散歩道として利用できるようになります。遊歩道は2023年(令和5年)春頃に供用予定で、当面の間は管理運営方法を見極めるため、海釣りもできる遊歩道部分の利用を無料とします」(大山さん)とのお話でした。
取材の段階では護岸工事は終了していたので遊歩道となる消波ブロックに上ることができましたが、伺った多くの計画はこれから実施されていくことになるのでとても楽しみです。若いころ子供たちと来たヘリポートや海辺に、今度は孫と一緒に来てみたいです。よく晴れた日には富士山がみえたり、東京湾を行き交う船舶をのんびりとみるのもいいですね。展望台のような遊歩道となる護岸から見えた海はこれまでとは違った感覚の海でした。早く区民の皆さんにも見て欲しいと思う今回の取材でした。
写真・文=石原英雄
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この記事について
この記事は、取材の仕方や文章の書き方、写真撮影のコツを学ぶ「金沢区の魅力発見・発信講座」の受講者が、区民目線で実際に取材・執筆したものです。